アドレス通商との協業で、事業領域拡大やBtoCも視野に。
お互いの成長に寄与する関係を築きたいと考えています。
当矢印刷株式会社は120年以上の歴史を持つ印刷会社です。特に設備投資には注力しており、日本には10数台しかない先進のインラインフィニッシュシステムのうち4台が同社で稼働しています。同社では2023年よりアドレス通商のメーリングサービスとの協業を開始しました。そのきっかけと効果について、当矢印刷株式会社 セールスデザイン部 次長 金子博充様にお聞きしました。
企業名 | 当矢印刷株式会社様 |
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事業内容 | 商業印刷物の企画から製版、印刷、加工 出版雑誌の企画から製版、印刷、製本加工 各種広告宣伝物の企画、制作、製版、印刷、加工 |
取材日 | 2023年12月 |
1. インラインフィニッシュシステムを導入・稼動
――当矢印刷株式会社について教えてください。当矢印刷株式会社は1901年5月、兵庫県姫路市に妻鹿燐寸工場、つまりマッチ工場として創業しました。1955年4月から燐票(マッチラベル)印刷を開始し、1959年5月に商標登録「当矢印」により、商号を当矢燐寸株式会社に変更しました。商業印刷分野への進出は1967年10月、埼玉県三芳町に埼玉工場を新設したことに始まります。そして、1981年5月に印刷部門を分離独立させ、当矢印刷株式会社を設立しました。1995年12月には現在地に本社ビルを新築・移転しています。
当社では商業印刷分野に進出して以来、印刷設備への投資を積極的に行っており、1975年8月のB縦半裁両面8色刷オフセット輪転機の導入から始まり、各サイズのオフセット輪転機の増強を今日まで続けています。また、2003年11月に米国ILF製インラインフィニッシュシステムを導入・稼動させ、日本には10数台しか稼働していない先進のインラインフィニッシュシステムのうち、4台が当社で稼働しています。
当矢印刷株式会社本社インラインフィニッシュシステムとは、従来の印刷工程では「印刷」「折り」「貼り」「抜き」「ミシン」加工はすべて異なる機械で加工されていました。それをワンラインで処理できる革新的なオフセット輪転印刷機です。印刷から加工、製本までを一貫して行うことで納期の大幅短縮や、無駄な横持ちコストの軽減を実現しています。
インラインフィニッシュシステムなどを活用した印刷物の提案で、アピール力、インパクトのある宣伝・販促ツールを制作し、お客さまの稼ぐ力に貢献しています。
2. お客さまの成果を一緒に考えて伸ばす
――セールスデザイン部とは、どのような業務を行う部門なのですか。
当社は従来、注力している設備力を活かして、大手印刷会社、大手広告代理店から大部数の印刷物を受注することをメインに展開してきました。ただコロナ禍を経て、非接触が推奨されたことなどから、「紙」離れがより顕著になりつつあります。すると当社も従来の営業スタイルだけでなく、新しい営業スタイルの軸を作っていく必要があります。そこで今までのようにお客さまから印刷物の発注をいただくだけでなく、お客さまが成果を挙げられるようにする。つまり、印刷物だけでなくデジタル媒体なども含めて、一緒に考えながら伸ばしていく仕組みを作っていく必要があります。その取り組みを行っているのが、セールスデザイン部です。お客さまと一緒に成果を出していくことが、ミッションとなっています。
――当矢印刷では現在、メーリングサービスを含んだ取り組みをアドレス通商と一緒に行っています。どのようなきっかけで協業するようになったのですか。
当矢印刷株式会社
セールスデザイン部
次長 金子博充様
もともとのきっかけは、当社からアドレス通商に「インラインフィニッシュシステム」などの自社設備の活用を提案したことです。アドレス通商はメーリングサービスで数多くの企業や自治体などの発送業務を行っているとお聞きしました。そんな中には印刷や加工まで請け負うものがあるでしょうから、当社の設備を活用してもらえれば、アドレス通商にとっても同社のクライアントにとっても、よりよい企業活動をしてもらえるのではないかと考えました。
そんな提案のメールを送信したところ、1時間も経たずに返信があり、正直なところ驚きました。
3. 印刷の後工程を提案する
――どのような内容の返信だったのですか。
当社では当社の設備の活用を提案しましたが、アドレス通商の視点で見ると、既に当社で請け負っている業務は、まだ売上につながる可能性がある。むしろ、なぜそこをやらないのですか、という逆提案でした。
先にお話ししましたが、当社の営業スタイルは大手印刷会社や大手広告代理店から大部数の印刷物を受注して納めるものです。納品先はクライアント企業もあれば、新聞折込広告の折込センターの場合や、アドレス通商のようなメーリングサービスを行っている会社の場合もあります。
当社は設備への積極的な投資を行い、その設備力を背景に印刷物の受注を伸ばしてきました。事業スタイルとしては、非常に効率が良いやり方です。ただ、それは大部数の印刷物の依頼が続いていく、という前提があってのものです。その前提が崩れつつある状況の中、アドレス通商の逆提案は新鮮でした。
また、いままでも印刷するだけでなくメーリングサービスまで提案する機会がなかったわけではありません。ただし、メーリングサービスを扱うということは、個人情報を扱うということです。そのセキュリティを担保しなければなりません。もちろん印刷物を納品して終わりではありませんので、その後の工程の管理の負担も発生します。
当矢印刷の設備を活かした印刷物(マッチ箱の蓋を開けることができる)
――アドレス通商からの提案が、セールスデザイン部が取り組もうとしていることに、うまくフィットしたわけですね。
そうですね。売上につながる部分があるにも関わらず、今まで積極的に展開していなかったことを教えられました。協業することにより、当社の新たな売上にもつながり、アドレス通商にもメーリングサービスの業務が発生します。お互いにメリットがあるかたちで、取り組んでいけるのではないかと考えました。
もちろん、実際に協業する前にアドレス通商には「インラインフィニッシュシステム」をはじめとする当社設備を見てもらいましたし、当社もアドレス通商のメーリングサービスの現場を見させていただきました。
4. クライアントの要望に協業して応える
――協業されて具体的な成果につながった事例を教えてください。
◎新規製品に対応
2023年6月に新規のクライアントから、新規製品の制作を打診されました。その段階では企画と予算があるだけで、ふんわりとやりたいことが決っている状況で、具体的にどういうかたちでできるのかは、はっきりしていませんでした。
クライアントからヒアリングした内容をもとにアドレス通商に相談をして、お互いにできる内容を整理しました。アドレス通商からのアドバイスと提案を踏まえながら、当社のカッティングプロッターを使ってサンプルを制作しまた。そして仕上げの加工に関してはアドレス通商が行う前提で、クライアントにプレゼンしたところ、そのサンプルを気に入ってもらえたことから、無事受注につながりました。
また、クライアントはアドレス通商のことをご存知で、アドレス通商が担当するなら安心してお願いできるとも言われました。
◎急なダイレクトメールを印刷から発送まで受注。
発送までの期間が短いダイレクトメールに関しても、こちらからクライアントに提案して印刷からメーリングサービスまで受注できました。印刷だけを見ると、決して大きな仕事ではありませんが、アドレス通商と協業しているお陰で、印刷の先まで提案できました。個人情報の取り扱いについても、アドレス通商は「プライバシーマーク制度」の認定を受けており、クライアントとの個人情報の授受は、金融機関も利用しているセキュリティの高いデータ授受システムを利用していますので、安心して対応できました。スケジュールとして厳しいものでしたが、アドレス通商の提案と段取りで期限に遅れることなくスムーズに印刷から発送までを行えました。
当矢印刷埼玉北工場
5. 事業領域が拡大し、BtoCも視野に
――アドレス通商との協業の効果について、改めて教えてください。
◎業務の領域が拡大し、新たな提案ができる。
今まででしたら印刷まで請け負って終わりだった業務が、その先、例えば加工や発送まで対応できますよ、というプラスの提案ができるようになりました。もちろん、その分の業務負荷やリスクも発生してきますが、実績と豊富な経験に裏打されたアドレス通商のオペレーションを活用できますので、安心して新たな提案ができます。
◎BtoBだけでなくBtoCへの展開も。
今までの当社は大手印刷会社などから印刷物を受注する、いわゆるBtoBの業務スタイルでした。そこにアドレス通商のメーリングサービスなどが加わることで、BtoCへの展開も視野に入れた営業活動が可能になります。
当矢印刷株式会社
セールスデザイン部 次長
金子博充様
――アドレス通商への期待やリクエストがありましたらお聞かせください。
協業することで業務領域が拡大しつつある実感を持っています。これからもお互いのためになる、お互いの成長につながる協業をしていきたいと考えています。
個々の案件に関しては、都度アドバイスや提案をいただきながら進めていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。逆にアドレス通商からの印刷案件もお待ちしています。
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