
従来のダイレクトメールから前進して、動画ダイレクトメールは、例えば、紙媒体の中に高度な動画の仕掛けを行います。
通常、紙のダイレクトメールでは文章や画像が主となりますが、動画ダイレクトメールでは、プラスして動く映像でプロモーションを行うことができ、より訴求力を高めることが可能です。
それがまさに、現在追求しなければならないアナログとデジタルの融合です。
今回は、動画ダイレクトメールの施策のメリットをお伝えするだけでなく、既に実施している企業の成功例、また、制作するうえでの注意ポイントを解説します。
目次
動画ダイレクトメールとは
動画ダイレクトメールには、様々な方法があります。ブック型動画ダイレクトメール
ブック型の動画ダイレクトメールは、パンフレットの中にモニター画面をはめ込ませ、開けば、即、動画が見られる、読むことと、観ることと、聞くことをすべて一体化したツールです。紙媒体だけでは伝えることができない、音の問題であったり、スピード感、動きなどを映像で見せることで、よりリアルさを追求でき、高級感漂う告知を展開することができます。
QRコード型動画ダイレクトメール
QRコード型動画ダイレクトメールは、QRコードが印刷されてあるダイレクトメールから、動画コンテンツに誘導させ、効果的なキャンペーンを展開することができます。普段発送しているダイレクトメールで何も変えず、QRコード印刷をプラスするだけで動画を視聴することや、アンケートキャンペーンなどへの誘導を手軽に実施することができます。
動画ダイレクトメールのメリット
ダイレクトメールに動画を導入するメリットについて解説します。文字だけでは伝えにくい商品・サービスの魅力を伝えられる
従来存在しているダイレクトメールでは、文章や画像が主なる手段であるため、表現方法にはどうしても限界があります。しかし、動画を導入することで、担当者が自身の声や、身振り、手振りを活用したり、動画ならではの形で商品・サービスのアピールを行うことができ、躍動感のあるプロモーションの演出が可能です。動画を利用することができるから、まるで対面のような臨場感も持たせることができます。
また、動画によって、担当スタッフの顔を売ることも、第一印象をこの動画で決定づけることもできます。いい出来でなければ、何度でもやり直しができるため、直接対面よりもいい第一印象を植え付けることも可能です。
動画ダイレクトメールを受け取った人は特別感を得られる
文字だけのダイレクトメールと比較しても、動画ダイレクトメールは受け取った方々に対して特別感を与えることができます。高級なダイレクトメールという印象ももたらすことができるでしょう。実際に企業で頑張ってダイレクトメールを発送するものの、受け手は、その気がなければいくらでもスルーすることができます。それでは全く意味のない紙屑にすぎません。従来の方法に依存し続けているとどうしてもそのような事態にも遭遇してしまうでしょう。
動画ダイレクトメールは、そのような形式から脱却する手段でもあるのです。動画ダイレクトメールを発送したから100%人に読まれるということではありませんが、確実に読まれる確率を高めることができます。少なくとも、動画が、文字媒体のデメリットを補ってくれているのです。
他社と差別化できる
動画ダイレクトメールを発送することで、まだ紙媒体だけに依存している他社を一歩も二歩もリードすることができます。まだどの企業もダイレクトメールに動画を取り入れているという訳でもありませんので、他社との差別化のチャンスだと考えていいでしょう。動画ダイレクトメールは、動画の内容も簡単に替えることが可能です。新しい商品・サービスが登場すれば、スピーディーに動画で顧客に届けることができ、効率のいい使い方が可能です。
決して一からダイレクトメールの構成を作り変えているわけではないため、楽に攻めることができます。
動画ダイレクトメールの使われ方
もう既に様々な企業で動画ダイレクトメールが発送されています。ダイレクトメールでは直接、開封率などを把握することができないので、開封率を測定する手立てとして動画ダイレクトメールを作成し、データトラッキングと、開封分析機能を搭載させています。
この手法によって、自社で、ダイレクトメールの開封数であったり、開封率、動画の視聴数や、視聴時間などを細かく分析できるようになりました。
また、動画を採用する発想は、以下のようにダイレクトメール以外にも様々活用されています。
Dolce & Gabbana
Dolce&Gabbanaでは、新作の香水の発表において、ファッション雑誌の見開き2ページという限定的な場所でのプロモーションを効果的に行うため、動画を採用しています。Audi
Audiでは、新作の発表キャンペーンに先駆け、顧客に発信されるパンフレットの内容を検討し、オシャレで革新的な方法で商品のイメージを伝えるために、動画を採用しています。パンフレットは、イメージ動画と製品の紹介動画の2種がボタン選択で再生できるよう工夫され、このアイデアも話題になりました。
BrooksSports
Brooks Sportsにおいては、ランニングシューズのプロモーションを行うため、動画プレーヤー入りの靴箱を作成しています。ユニークな発想の靴箱の記念パッケージが、話題性をもたらすことに成功しています。
ACUITY
ACUITYでは、年次報告書に対し、より株主の方々の印象に留めるものにするため、それぞれページに幹部の顔写真を掲載し、さらに、口部に動画プレーヤーを設置しています。再生すれば、まるで幹部自身の口から報告がされているような感じになり、株主からも好評を得ることができました。
より効果の高い動画ダイレクトメールの作り方
動画ダイレクトメールを発送するのであれば、より高い効果を追求したいものです。ターゲットを明確化させる
動画ダイレクトメールを発送するために、あらかじめターゲットを明確にしましょう。動画ダイレクトメールがぐっと刺さる対象はどの層であるかを考えることで、動画の作り方自体も変わってくることでしょう。ターゲットを絞ることによって、動画の構成、演出方法が変わり、より訴求力のあるプロモーションが可能となります。
どのようなターゲットに、動画で何を伝えたいのかを明確にすることで、動画制作の過程でブレが起こりにくいです。
ダイレクトメールのターゲット設定は以下の点をチェックしましょう。
・誰に、どのような目的でダイレクトメールを発送するのかを検討
・分析した結果を参考にする
・ターゲットに合わせダイレクトメールの内容を決める
年齢や性別、住所といった属性、また、購入履歴など、存在する情報を具体的にまとめるとよりターゲットが明確化できるでしょう。
また、過去1か月以内にはじめて利用したお客様か、または、リピートして注文してくれる既存顧客かによってもダイレクトメールの内容も変化させ、文面の工夫も大事です。
購入履歴から判断し、過去に似たような商品を購入しているお客様に対し、商品案内のダイレクトメールを発送すれば、他の顧客よりも関心を持ってもらいやすい傾向にあります。
また、ダイレクトメールのターゲット設定をする際、「デシル分析」であったり、「RFM分析」も参考にするといいでしょう。
デシル分析とは、購入金額順に並べた顧客を10のグループに分類し、どのグループに情報を届けるかを判断する方法です。
RFM分析とは、Recency(直近購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額)のそれぞれカテゴリーに分類し、それぞれの数値を確認します。
誰にダイレクトメールを発送すれば、効果を期待できるのか見込みを立てておくと、自社の売上につなげられ、効果測定にも役立てることができます。
そして、決定したターゲットに合わせ、ダイレクトメールの内容を具体化します。
はじめて購入した新規顧客か、既存顧客によって内容は変わるはずです。新規顧客に対しては、「弊社をはじめて利用くださるお客様へ」などのキャッチコピーが目立つ展開をしたり、新規顧客を対象とした特典を紹介するなどで関心を引くことができます。
ダイレクトメールの文面・デザインに凝る
動画を載せれば、従来の文面やデザインが適当でいいのかと言えば、そうではありません。たとえば、キャッチコピーで、商品・サービスのメリットをスッキリと伝えることも大事です。キャッチコピーでメリットを伝える
ターゲットに、読みたいと思われるためには、封筒や、圧着ハガキなどを開かなくても見ることができる部分に記載されるキャッチコピーにも熟考が必要です。キャッチコピーでターゲットの関心を引くことができるかどうかで、反応率や、開封率も格段に変化します。
ダイレクトメールを開封してもらうことができるキャッチコピーを完成させるためには、ターゲットにとってより関連性の高い利点を想起させるワードを採用することが大事です。
たとえば、ある企業が実際に利用したキャッチコピーを確認してみましょう。
①山田不動産 ウィンターキャンペーン実施!
②展示場に来場いただいたお客様へ特別なお知らせがあります。
この2点で反響が高かったのは、②でした。
前者の場合、展示場に来場しないお客様でも該当するキャッチコピーであるため、展示場への来場との関連性が薄いです。
一方で後者は、展示場に行ったことが限定されています。
顧客にとって記憶にまだ残っているタイミング(来場からおおよそ1か月以内)であれば、物件を検討中の可能性をより高くすることができます。
この施策では、「特別なお知らせ」と記載し、来場者限定のキャンペーンを展開したり、検討している段階のお客様に対して、「よくあるお悩み」の窓口の案内を記載したチラシを封入しています。
また、「クーポンあり」……など、ターゲットがメリットに感じやすいものがあるのなら、それをわかりやすく明記することで、より開封率を高めることができます。封筒のデザインやハガキの宛名面などに堂々と盛り込んでアピールするといいでしょう。
ここで注意しなければならないポイントは、キャッチコピーの情報量はできるだけ少なめにすることです。
つい、あの情報も、この情報も盛り込もうと思えば、結果長くなり、わかりづらいものになってしまいます。キャッチコピーを採用するためには、インパクトのある文言や最も伝えたいことを簡潔に盛ることを意識して行ってください。
共感を得ることができるあいさつ文
自分に宛てたダイレクトメールであれば特別感を抱いてもらえることも、作成する上でおさえておきたいポイントです。ただ一方的に押し付けた宣伝ワードを配置しただけのダイレクトメールでは、行っても差別化には成功しません。
強制的な感も嫌気を感じさせるため避けて、ターゲットが自分宛のダイレクトメールだと魅力を感じられるあいさつ文を書きましょう。
「お子様が大きく育ちそろそろ手狭になり、引越たいと考えているころではないでしょうか」
「お子様が小学校に入学するのに合わせ、引越しを検討しているお客様へ、〇〇駅から徒歩で3分の優良物件のご案内をさせていただきます。」
このように、顧客の抱える悩みに合わせた文面を入れることがコツです。共感してもらうことができる内容であれば、あいさつ文が自分のものとして感じられ、効果の出やすいダイレクトメールにすることができます。
また季節感のある挨拶文にすることも、効果的なダイレクトメールを作る上で大事なことです。
例えば、高気密の住宅をセールスポイントとしている不動産会社が発送したダイレクトメールでは「花粉がお部屋に届きにくい」といったワードを盛り込み、季節に合わせたキャッチコピーにしています。
季節感は、ほとんどの方々に共通するものであるため、顧客の悩みや課題にも容易に結びつき、共感を生みやすくすることができます。
記憶に残りやすいデザインを意識する
発送したダイレクトメールに関心を持ってもらうには、記憶にとどまるデザインにすることも大切です。ダイレクトメールは、封筒やハガキが一般的となりますが、多くの郵便物が届く中、ありふれたデザインのダイレクトメールでは顧客の記憶にとどまりにくいため、差別化を熟考する必要があります。
ある不動産会社の発送したダイレクトメールでは、自社ブランドカラーである斬新なレッドの封筒にしたところ、4,600件ダイレクトメールを発送したなか、再来場が86件、成約が5件という結果が出ました。
一般的にいえば、ダイレクトメールのレスポンス率は1%あれば成功と言われているのですが、レッドの封筒のダイレクトメールを発送したところ倍の2%のレスポンス率を出すことができました。
レッドの封筒は、他の郵便物と比較しても目立つことから手に取ってもらえたのだと考えられます。
ただし、デザインに拘りをもつことで、それだけコストがかかってしまうでしょう。紙質を変えて手触り感をよくしたり、蛍光色やメタリックな文字カラーにすることによっても、瞬間人目を引くことが可能ですが、それも、それだけ多くの予算の確保が必要です。
そこでそれぞれ企業で考えていかなければならないのは、見込めるレスポンス率と費用とのバランスであり、それを考えながらクリエイティブデザインを決めていかなければなりません。
まとめ
いかがでしょうか。今回取り上げたのは、従来存在するダイレクトメールから前進した動画ダイレクトメールの発想です。
動画を盛り込むことで、観る、聞く、を取り入れることができ、より幅の広い情報を伝えることができます。
そして、単にアナログに依存するのではなく、デジタルの融合についても考えているアクティブな企業だという印象も、顧客に与えることができるでしょう。
ダイレクトメールにとってデジタルとの融合がすべてではありませんが、そのような発想があることを理解して、自社はどうすればいいか考えることも大事なことではないでしょうか。
アドレス通商では、子会社に映像制作部隊を内製で持ち、デジタルブック+動画、AR+動画など、動画コンテンツと連動した、ダイレクトメールのご提案が可能です。
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