第2回「DMコンポーネント(構成要素)の役割。」

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小野口課長:アロ~ハ~。こう暑いとさー、お仕事しながらリゾート気分だよねー。
いやー、会社って、たーのしいよねー……なんて、楽しいわけないよー!だけど、ここしか空いてなかったんだよね。オープンフロアだと電話対応できないじゃない、まわりうるさいし。
モモちゃん:はい、では折り返し……(ガチャン)。
課長、対応の妨げとなりますので電話中に話しかけるのはやめていただきたく思います。 また、いま少し室内温度を下げていただいた方が社員の業務効率も改善すると考えられます。
だからやめなさいって、その変な文語調のしゃべり方。業務日報読み上げてるみたいじゃない。
だけど、モモちゃんが機嫌悪い時ってホント分かりやすいよねー。すぐに「プンプン丸」になるし。
でも、すぐ機嫌なおっちゃうから人間って不思議だよね。「怒って、いいともー!」「なーんてな」。ははは。
課長、それらのギャグ、すべてがオワコンですから、若者の前ではお控えになられた方がよろしいかと。
さらに申し上げれば、そのピンクのアロハシャツもいかがなものかと思われます。
あら? でも、なんだか涼しくなってきた気がします。ほら、こんなに鳥肌がー。
あー……要は、ギャグが寒いですよ、と。わかってますよ、自分でも。 ところで、オワコンって何?
さて課長、前置きはそれくらいにしてご相談、張り切ってまいりましょう!
はい。本日のDMお悩み相談は?
お悩みネーム、ビル・ゲッツさんからのご相談です。

ビル・ゲッツさんのお悩み
「DMの中身には何を入れたらいいの?」

今回もまた漠然としてますねー。で、ゲッツさんはどんな業種で、どういう内容のDMを発信したいの?
インターネット通販の社長さんです。
売上の山場をつくるため、初めて季節の販促キャンペーンをやるそうです。 実は私も何度か利用したことがあって、どんなキャンペーンでしょうね。ちょっと楽しみです。
へー、モモちゃんは実際のお客さんなんだ。お客様目線で考えるのは大事だよ。
しかも、ゲッツさんはですね……

「ネット通販らしくないと分かっているけど、いつも買ってくれるお客さま一人ひとりに感謝の気持ちを込めて、手書きで手紙を送りたいんだ」

なんですって。なんか私、グッときちゃいました。
今どき殊勝なIT系青年実業家だと思いませんかー?
なるほど、商売の勘所がお分かりの様ですね。
それで、まさか手書きする手が足りないからとか、そういうお悩みじゃないよね?
いえ、それ以前のお話しなんですけど、彼は今まで年賀状も書いたことがなくて、 手紙の書き方どころか封筒の中に、何を入れたらいいかも分からないんです。
なにしろ彼、IT系の青年実業家ですから、仕方ありませんよねー。
グッときちゃったのはいいけど、IT系青年実業家だから、お手紙が書けないわけじゃないと思うなあ。 はい。モモちゃん、DMの基本コンポーネントってどんな内容?それと、今回メインにするツールはどれだろう?
はい! 基本コンポーネントは、
①外封筒、②ご挨拶レター、③商品案内パンフ、④ご注文書かご注文ハガキです。必要に応じて、注文書の⑤返信封筒や、⑥サブのご案内リーフレットなどを追加します。
ただ、重さによって郵送料が変わるので、ツール全体の重量も考慮しないといけません。 そしてメインにするツールは……
もちろん、ゲッツさんが真心をこめて書いた直筆のお手紙に決まってますよ!
えー? 今回はDM目的が季節の販促だから、メインのツールは「キャンペーン商品のご案内ツール」でしょ。

それじゃあ、課長!ゲッツさん直筆のお手紙の立場はどうなるんですか?

ちょっと、ちょっと。もう一度確認するけど、今回のDM目的は何?
季節の売上の山場をつくるための商品販促キャンペーンです!
じゃあ、その目的を達成する上で、お客様がお買い物したくなるような情報は何ですか?

IT系青年実業家が書いた真心のお手紙・・・

モモちゃん、喝―――つ!
(パシーン!)
(合掌)ありがとうございます。
じゃあ、せっかくモモちゃんお客様だし、お客様目線でDMツール一つひとつの目的を考えてみよう。ポストに何通かの封書DMが入っていました。それを持って部屋に戻りました。さて、どうしますか?想像力を働かせてみよう。
想像ですね……1通目は私に関係のないDMだったので、ゴミ箱へダイレクト・ポイ!ですかねー。
なるほど。多くのDMはダイレクト・ポイ!の運命をたどるのは紛れもない事実だからねー。
じゃあ、2通目のDMはビル・ゲッツさんの会社からでした。どうする?
それは、真っ先に封筒を開けますよー。胸をときめかせつつ、ピリピリピリー。
さあ、今、なぜモモちゃんは1通目はゴミ箱へ、2通目を胸ときめかせて開けたんだろう?
捨てられたDMと開封されたDMとの違いはいったい何だい?
想像力ですね。えーと、えーと。あ、1通目は駅前の分譲マンションの内覧会案内だったんです。
だいたい新入社員の私がいきなりマンション買えるわけないですよ、まったく!マンションをゲットする前に素敵な旦那さまをゲットしなくちゃですからね。私に送ってくるんだったらマンションよりも素敵な男性を……
はい!なかなかの想像力だね。じゃあ、2通目を開封した理由は?

それはもう、素敵な男性……いえ、IT系青年実業家の会社から届いたお手紙ですもの。
きっと、手描きのお手紙ですから、私だけには特別な事が書いてあったりして、もしかして2人だけでディナーのお誘いだったりとか、あー、そうじゃなくて、もしかすると……

モモちゃん、それは想像じゃなくて妄想ですよ。
まあ、とにかく何かを期待したから開封したんだよね。その封筒には何が書いてあったわけ?
「季節限定の特別大セール。ずーっと欲しかったアレが今だけ超激安!」ですね。
そこだけ、やけにリアルなんだね。
女は現金な生き物ですから。
だとすれば、モモちゃんが封筒を開けた理由は2つかな。
ひとつは信頼できる会社から届いたお知らせだから。
2つ目はずっと欲しかったソレがお得に買えるチャンスだから。
そんな信頼感と期待感が封筒を開けてもらう原動力になったんだね。そして封筒を開けました。では、次に何を読みますか?

それはもちろん、ゲッツさん直筆のレターですよね。
親愛なる桃山愛さま。まだお会いしたことはありませんが、実は私はあなたのことを……うふふ……ぐふふ……

すごい妄想力だね。大丈夫かな?
そう、普段の企業活動では、お客様と直接お話しする機会がないから、一人ひとりとお話しする代わりにレターを送るんだね。
彼のように直筆で感謝の思いを伝えたい、という気持ちが肝心です。モモちゃんもそこにグッときたわけだから。
つまり、封筒を開けてもらったら、次にお客様の気持ちを開いてもらうのが挨拶レターの役割かな。
はい。そしていよいよ、商品案内のツールでお得なお買い物情報について説明します。
各ツールの役割に沿った情報を記載して、開封からご注文まで一連の流れの中で、ご案内してあれば、分かり易くて親切でしょう。
えーと、そしてお待ちかねの、私がずっと欲しかったアレの超お得なお知らせを開きます。すると 「うっそーん!ア、アレが、今だけ、こんなにお得なのー!?いますぐ買わなくちゃー!キャー!」と、メチャ驚くんです。
そんなにスゴイんだ?何が書いてあったの?
驚くべきことです。
あ、そう……。とにかく、販促キャンペーンの主役は商品だから、お客様が納得できる様に商品情報をしっかり説明して、 それから、その商品に対する特典を案内します。いくら値段が安くても、自分が欲しいと思える商品でなくちゃ買わないからね。
まずは欲しい商品を見つけてもらうことが商品案内ツールの役割だね。
買う側の気持ちで言わせてもらえば、初めての商品を案内してくれるなら、なおさらしっかり商品を説明してもらいたいですよね。もしお店だったら店員さんの説明に納得するまで買いませんもん。
あー、モモちゃん、ショッピングに時間かかりそうだもんねー。あ、もちろん、いい意味でね。
そして最後に、できるだけ注文しやすくしてあげるのも大事なんだけど、案外とおろそかになりがちです。
お客様がどんな方法で注文したがっているかに配慮します。
電話注文が苦手な人には注文ハガキやFAX用紙を入れたり、WEBサイトへのアクセス方法を記載してあれば親切だよね。
DMコンポーネントのツール、一つひとつに役割があるんですね。今日も勉強になりました!
目からウロコが落ちました!さっそく、ゲッツさんにお返事しなくちゃ。
課長、オワコンギャグで室内温度を下げてください。さあ、張り切ってどうぞー!
だから、オワコン(※1)って何?
それくらいご自分でググってくださいよ。

※1 オワコン:(俗語)終わったコンテンツの略。

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