バリアブル印刷で開ける未来 ~バリアブルQRコード戦略とマーケティング活用~

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近年、顧客一人ひとりに合った情報を届ける「パーソナライズ」がマーケティングの新常識になっています。その具体的な手法として、ダイレクトメール業界で注目されているのが「バリアブル印刷(可変データ印刷:Variable Data Printing)」です。とりわけ、バリアブルQRコードを効果的に組み込むことで、紙のDMなどがデジタル施策と同等以上の強みを持つようになってきています。

本記事では、バリアブル印刷の概要・種類・メリット、活用事例、マーケティング戦略としての実践ステップ、そして注意点を丁寧に解説します。



目次

  1. バリアブル印刷とは何か
  2. バリアブル印刷の主な種類
    1. バリアブルテキスト印刷
    2. バリアブル画像印刷
    3. バリアブルQRコード印刷
  3. バリアブル印刷のメリット
    1. パーソナライズ効果
    2. マーケティング効果の向上
    3. データ活用による精度の高い施策
  4. バリアブル印刷の活用事例
    1. ダイレクトメール(DM)
    2. 顧客データの分析と活用
    3. 会員カード・チケット
    4. イベント案内状
  5. バリアブル印刷とマーケティングの関係
  6. バリアブル印刷導入ステップと戦略設計
    1. 顧客データベースの整備とセグメント化
    2. 目的・KPIの設定
    3. デザイン・クリエイティブ設計
    4. テスト実施
    5. 発送と導線設計
    6. 効果測定とPDCAサイクル
  7. 注意点とコスト面の考慮
    1. データ精度が命
    2. デザインの整合性
    3. 個人情報保護の配慮
    4. コストとのバランス
  8. まとめ

なぜ今、顧客体験(CX)が注目されているのか

バリアブル印刷とは、顧客データベースをもとに、印刷物の一部分(宛名/テキスト/画像/QRコードなど)を一枚ごとに変えて印刷できる技術です。可変データ印刷とも呼ばれ、同じ版を使いながら内容を自在に差し替えられる柔軟性が特徴です。

 

たとえば、年賀状の宛名や住所と絵柄を個別に変える、購入履歴に応じておすすめ商品を変える、チェーン店でお客様の最寄店舗情報を個別に入れるなど、多くの応用が可能です。すでにダイレクトメール、名刺、チケットなどで利用されており、マーケティングツールとしての期待が高まっています。


バリアブル印刷の主な種類

以下では、バリアブル印刷の主だった種類をご説明します。


バリアブルテキスト印刷

顧客ごとに異なる文字情報を差し込む方法です。代表的な例としては宛名やメッセージがあります。DMに「〇〇様だけの特別ご案内」と印刷するだけで、開封率や反応率が向上すると考えられます。


バリアブル画像印刷

顧客属性や嗜好に合わせて、印刷物に使用する画像を切り替える方法です。たとえば、若年層にはポップなデザイン、シニア層には落ち着いたデザインを印刷するといった対応が可能です。


バリアブルQRコード印刷

QRコードを顧客ごとに生成し、印刷物に反映させる方法です。アクセス先のページを変えることで、キャンペーン管理や個別の購買行動のトラッキングに役立ちます。EC事業においては、特定商品の購入ページや会員限定クーポンに直接誘導する仕組みとして効果的です。

バリアブル印刷のメリット

ダイレクトメールにバリアブル印刷をする事のメリットは、以下のような効果があります。

パーソナライズ効果

顧客ごとに最適化された内容を届けることで、特別感を演出できます。

マーケティング効果の向上

開封率・反応率・コンバージョン率の改善につながる可能性があります。

データ活用による精度の高い施策

顧客データを直接施策に反映できるため、効果測定や次回施策への改善が容易です。

バリアブル印刷の活用事例

バリアブル印刷は、通常の印刷とは違い、ひとつひとつの情報が異なる内容で作成することが可能です。
以下では、活用事例をご紹介します。

ダイレクトメール(DM)

ECや小売業界では、バリアブル印刷を活用した紙DMが定番です。購入履歴や誕生日に合わせたクーポンを印刷することで、再購入やロイヤルカスタマー育成につながります。

会員カード・チケット

名前や会員番号を個別に印字することで、不正利用を防ぎつつ、顧客に「自分だけの特別感」を与えることができます。

イベント案内状

参加履歴や興味分野に合わせた内容を差し込み印刷し、顧客満足度の高い案内状を届けることができます。

バリアブル印刷とマーケティングの関係

EC市場やデジタル広告が主流となる一方で、紙のDMや印刷物は「手元に残る」「視覚的に強く印象づけられる」という点で再評価されています。

 

特に、バリアブル印刷を活用したDMは次のようなマーケティング効果が期待できます。

 

顧客セグメントに応じたパーソナライズDM

 

オンライン(QRコード・ECサイト)との連携によるオムニチャネル施策

 

データ収集・効果測定による施策改善サイクルの加速

 

つまり、バリアブル印刷はアナログとデジタルをつなぐ重要なタッチポイントとして、CX(顧客体験)の質を高める役割を果たすと考えられます。


バリアブル印刷導入ステップと戦略設計

以下は、バリアブル印刷+QRコード戦略をマーケティング施策として成功させるためのステップです。


顧客データベースの整備とセグメント化

氏名・住所・購買履歴・属性情報などを正確に管理し、ターゲットごとのセグメントを設計します。


目的・KPIの設定

「再購入率を上げる」「新規顧客の反応率を改善する」「ブランド認知を広げる」など目的を明確にし、開封率/反応率/コンバージョン率などをKPIとして設定します。

デザイン・クリエイティブ設計

宛名や画像、QRコード位置などの可変箇所をテンプレート設計。見た目の違和感をなくすことが重要です。

テスト実施

一部セグメントでテスト印刷を行い、開封率・反応率の差を確認。圧着タイプやハガキ/封書の形式なども比較します。

発送と導線設計

QRコードのリンク先(LPやクーポンページなど)を整備し、アクセス・購入までの導線が明快であることを確認します。

効果測定とPDCAサイクル

開封率・反応率・QRコードのクリック率・コンバージョン率などを追跡し、継続的に改善を図ります。

注意点とコスト面の考慮

バリアブル印刷やバリアブルQRコードを導入するにあたっては、次の注意点があります。

データ精度が命

データが間違っていたり古いと、逆効果になる可能性があります。

デザインの整合性

可変部が多いほどレイアウト崩れや見栄えの問題が起こりやすいため、テンプレート設計に工夫が必要です。

個人情報保護の配慮

名前、住所、購入履歴などを使う際は、プライバシーマーク・ISMS取得など信頼できるメーリング会社を選ぶことが重要です。

まとめ

バリアブル印刷とバリアブルQRコードは、紙のDMをただ送るだけでは得られない“個別対応”と“印象に残る体験”を顧客に提供します。最新データを見ると、本人宛紙のDMの開封率が70〜80%、行動喚起率が20%前後という実績があり、デジタル施策と組み合わせることで非常に高いマーケティング効果が期待できます。

顧客一人ひとりに最適な情報を届けることは、ロイヤルティ向上と企業成長の両方につながります。これからの時代のマーケティング戦略において、バリアブル印刷の導入はますます欠かせない要素になるでしょう。


アドレス通商では、オンデマンド印刷機や高速インクジェット出力マシンを数多く所有しております。
会員カードなどへの印字機もあり、顧客ロイヤルティを向上させるDMの発送が可能です。
バリアブル印刷・DM設計にご興味がございましたら、お気軽に、お問合せ下さい。


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