EC事業戦略において顧客体験(CX)が重要視される理由と注目すべきポイント

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EC市場が成熟し、単なる商品やサービスの提供では差別化が難しくなっている今、企業の競争力を左右するのは"顧客体験"(Customer Experience:CX)です。この記事では、顧客体験の定義から、その重要性、そしてCXを高めるための具体的な施策までをわかりやすく解説します。

目次

  1. なぜ今、顧客体験(CX)が注目されているのか
  2. 消費行動の多様化とCXの必要性
  3. ダイレクトマーケティングの重要性とCXへの貢献
  4. 顧客体験向上に取り組む企業事例
    1. 無印良品
    2. ユニクロ
  5. 顧客体験向上のための施策
    1. One to Oneマーケティング
    2. MA(マーケティング・オートメーション)活用
    3. カスタマージャーニーマップによる現状把握
    4. PDCAサイクルの継続的実行
  6. 顧客体験向上に必要な視点
    1. 顧客目線の徹底
    2. 顧客データの分析と活用
    3. 感情へのアプローチ
  7. まとめ

なぜ今、顧客体験(CX)が注目されているのか

従来は商品やサービスの品質や価格が顧客満足を左右していましたが、今ではそれだけでは足りません。EC市場の急拡大と競争激化により、いかに顧客にとって快適で感情に響く体験を提供できるかが問われています。

経済産業省によれば、2020年の日本のBtoC-EC市場規模は約19.3兆円。2013年以降、右肩上がりに成長を続け、特にコロナ禍で多くの事業者がECへ参入したことで、市場はますます飽和状態に近づいています。こうした中で、単にECサイトを立ち上げただけでは他社に埋もれてしまうのが現実です。

このような背景から、自社独自の戦略や顧客へのアプローチが求められており、CXの向上こそが競争優位性の鍵を握る施策といえるのです。

消費行動の多様化とCXの必要性

デジタル技術の進化により、企業と顧客の接点は多様化しました。SNSやアプリ、ECサイト、チャットボットなど、複数のチャネルを通じて顧客と関わる今、顧客の期待に応える柔軟な体験設計が求められます。

例えば、ある顧客はSNSで商品を見つけ、アプリで比較し、ECサイトで購入、実店舗で受け取るといった行動をとるかもしれません。このような一貫性のある顧客体験を提供するには、戦略的な設計が不可欠です。

ダイレクトマーケティングの重要性とCXへの貢献

CX向上の文脈で、改めて注目されているのが「ダイレクトマーケティング」の手法です。中でも、顧客の手元に直接届く「紙のダイレクトメール(DM)」は、デジタル施策に比べて高い開封率と記憶定着率を誇ります。

たとえば、ECでの初回購入後に送付されるサンクスDMや、誕生日クーポン、再購入を促すタイミングDMなどは、パーソナライズされた接点として高い反応を得られる傾向にあります。また、紙のダイレクトメール(DM)は企業のブランドや信頼感を強化する役割も果たします。

デジタル施策だけでは伝わりにくい“手に取る体験”を提供する事も可能です。例えば、購入履歴や行動データに基づいて送付するDMは、顧客一人ひとりに最適化された体験を創出し、ECサイトへの再訪問や購買につながります。デジタルと紙媒体を組み合わせた施策は、Z世代を含む幅広い層に有効と考えられます。

このように、ダイレクトメールはオンラインとオフラインをつなぐタッチポイントとして、CX全体の質を底上げする施策のひとつといえるでしょう。


顧客体験向上に取り組む企業事例

国内外の企業では、CX向上に向けた取り組みが進んでいます。たとえば無印良品は、アプリを通じて顧客の購買履歴を分析し、最適な商品提案を行っています。ユニクロはオンラインと店舗を連携させ、スムーズな購買体験を提供しています。
このように、自社の特徴や顧客層に合ったCX施策を取り入れることが、成果を上げるためのポイントです。


無印良品

「ご意見パーク」を自社ECサイトに設置し、顧客の声を直接商品開発やマーケティングに活かしています。定量データだけでなく、定性的な"生の声"を活用する姿勢がCX向上に貢献しています。

ユニクロ

ECと実店舗を連携させたオムニチャネル戦略を導入し、シームレスな購買体験を実現。アプリ内のAIチャットボット「UNIQLO IQ」による接客も、高い顧客満足を支えています。

顧客体験向上のための施策


One to Oneマーケティング

個人の購買履歴や閲覧行動をもとに、最適なタイミングと内容でアプローチする手法。リターゲティング広告やレコメンデーション機能、パーソナライズドなメール配信などが代表例です。

MA(マーケティング・オートメーション)活用

顧客の属性と行動を分析し、自動で適切な対応を行うツール。見込み顧客の育成や、顧客ロイヤルティの向上、コスト削減などに効果があります。

カスタマージャーニーマップによる現状把握

顧客の行動・思考・感情を時系列で可視化し、接点ごとの課題を洗い出すフレームワーク。以下のような指標も併用しながら改善点を探ります。

NPS(ネットプロモータースコア)

実際にそのサービスを推奨する人がどれくらいいるのかを表すものです。「あなたはこの商品を友だちや家族にどの程度すすめたいと思いますか?」といったひとつのシンプルな質問から、顧客ロイヤルティを数値化する手法です。

CSAT(顧客満足度スコア)

顧客体験全体に対しての満足度をスコアリングし、評価する手法です。

CES(カスタマーエフォートスコア)

特定の課題の解決に対して難易度を測定しスコアリングする手法です。

PDCAサイクルの継続的実行

CX施策は一度で終わりではなく、変化し続ける環境に対応するために、継続的に改善していく姿勢が求められます。

顧客体験向上に必要な視点

EC事業をこれから行おうと思っている方々は、まずは、顧客体験向上の基本をおさえておくといいでしょう。

顧客目線の徹底

施策はすべて「顧客がどう感じるか」から逆算して設計すべきです。企業視点の押しつけはCXを損なう結果になりかねません。

顧客データの分析と活用

根拠に基づいたアクションが信頼されるCXへとつながります。行動履歴や購買データだけでなく、問い合わせ履歴やアンケート結果も重要な情報源です。

感情へのアプローチ

商品やサービスの機能だけでなく、感情的な満足もCX向上には欠かせません。心地よさや安心感を提供できるような設計が求められます。

まとめ

いかがでしょうか。今回は、EC事業戦略においてカギとなる顧客体験について解説しました。

EC市場が高度に成熟した現代では、単に商品を提供するだけでは生き残れません。競合他社との差別化を図るためには、CX(顧客体験)の向上が不可欠です。

顧客とのあらゆる接点を見直し、データと感情の両面から改善を図ることで、継続的な顧客獲得と企業の成長につながります。特に、デジタルとアナログを融合させたダイレクトマーケティングの活用は、CXを強化するうえで今後ますます重要になると考えられます。

これからのEC戦略のカギは、まさに「顧客体験」にあるのです。


CX強化を意識したダイレクトメールの活用をご検討の方は、ぜひアドレス通商にご相談ください。DMの発送から顧客データ活用までトータルに支援し、貴社のCX向上に貢献いたします。


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