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第11回 「買ってくれそうなお客様だけを探し出すには?(DMリストの絞込み)」

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第11回 「買ってくれそうなお客様だけを探し出すには?(DMリストの絞込み)」
モモちゃん: なるほど~、それはお困りですね~。
モモちゃん
山田さん: はい。今度の「DMレスポンス率」が上がらなければ担当から外すと言われまして…。
山田さん
それはそれは、残念です。
モモちゃん
ちょっとちょっと、そんな冷たい言い方しないでくださいよ。オタクさんはお悩み相談を解決してくれるんでしょ? 助けて下さいよ。
山田さん
それはそうですけど。デザインも校了していて印刷直前なんですよね。もう時間ないですよ~。
モモちゃん
そこをなんとか。お知恵を拝借できませんかー? あれあれ? なんという偶然でしょう。私、いま御社の近くにいるみたいなんですよ。今からお伺いしてもいいですか?
山田さん
え!? 今からですか?
モモちゃん
はい! 5分ほどで到着しますので、よろしくお願いします!
(プチッ)
山田さん
あのー、ちょっと今からって……あれ? 切れちゃったよ。
モモちゃん
小野口課長
小野口課長: なになに?どうしたの?
それが、山田さんが今からここへ相談に見えるそうです。
モモちゃん
小野口課長
おー、山田さんがいらっしゃるんだ……で、山田さんってどちら様?
さあ。通販担当の山田さんとしか伺ってませんので。
モモちゃん
小野口課長
そうかそうか、記念すべき初めてのお客様だね。ちょっと掃除しとかないと。
でも、5分で到着するそうです。普通いきなり来ませんよね。
モモちゃん
小野口課長
えー!そうなの? 行動力ある人だねえ。
というか、ここに来るついでに一応電話くれたみたいな感じでしたけど。
モモちゃん
小野口課長
そうですか。まあいいじゃない、わざわざ来てくれるんだから。冷蔵庫に通販で買ったライオン屋の羊羹があるから、それをお茶うけにしましょうよ。
こんな時のための羊羹を隠しておくなんて、さすがは課長ですね。もっとも、お客様が来社するなんてDM相談課の創設以来はじめてですから、私が出かけている間に一人で食べようとしていたのはバレバレですけど。
モモちゃん
小野口課長
さすがはモモちゃん。なかなかの推理力だね。
山田さん
こんにちはー。先ほどお電話した山田です。突然すみません。
小野口課長
いえいえ。いらっしゃいませー。こちらへおかけください。
いらっしゃいませー。いまお茶を淹れますので、一息ついてください。
モモちゃん
小野口課長
いやあ、実は山田さんが相談課創設第1号のお客様なんですよ。あとで記念写真撮らせてくださいね。
今こんなモノしかなくて申し訳ありませんが、お茶請けに羊羹でもお召し上がりください。
モモちゃん
山田さん
おや、ライオン屋の羊羹ですね。申し遅れましたが、私、ライオン屋・通販事業部の山田太郎と申します。毎度ご愛顧ありがとうございます。つまらないものですが当社の羊羹です。
小野口課長
なんと!? いえいえ、みんなライオン屋さんの羊羹の大ファンですので。ねえ、モモちゃん。
これはこれは、つまらないものをありがとうございます…… あれ?
モモちゃん
小野口課長
そうじゃないでしょ! えーと、それで、ご相談とは?
山田さん
いや、ホントに困ってまして。週末から胃が痛くて、藁にもすがる心境なんです。
藁人形なら私にお任せ下さい。猫の手もお貸ししてますので、よろしければ。それで、DMデザインはもう変えられないけど、どうにかしてレスポンス率をアップしたいということですよね。
モモちゃん
山田さん
はい。内容はいつもと同じ内容の「ご贈答キャンペーン」ですから、いつもと同じレスポンスに決まってるんです。キャンペーンの企画段階ならまだしも、今さら反応を上げろと言われてもねえ……。
ですよねー。でしたら山田さん、今回は諦めませんか。よろしければ私が藁人形で呪いをかけるか、もしくは猫の手となって一緒に謝ってあげます。あ、これはおトクな無料サービスですので。
モモちゃん
山田さん
あー、じゃあ、藁人形の方でお願いできますか?
小野口課長
ちょっと! 山田さん、まずはレスポンスを上げる方を検討しませんか。藁人形は失敗してからでも遅くないでしょう?
え!? でも、もうDMできちゃったんですよ。藁人形以外の方法があるとでも?
モモちゃん
小野口課長
うちは怨み屋本舗とかじゃなくてDM相談課ですからね。さて、モモちゃん、迷ったら基本へ戻ろう。「DMの3要素」はなんだっけ?
はい。DMの3要素はコチラです!
モモちゃん

【DMの3要素】

  1. リスト(送付先)
  2. オファー(特典)
  3. クリエイティブ(表現)
小野口課長
すでにDMが完成しても、まだ間に合う手立てがあるんじゃない?
あっ! 「リスト」ですね!
モモちゃん
山田さん
え? 発送リストをどうすればいいんですか?
山田さん、分かりましたよ。出来上がっちゃったDMの『レスポンス率』をアップするには、発送リストを「セグメント」すればいいんです! 嗚呼、なんで私こんな簡単な事に気づかなかったのだろうか。嗚呼……
モモちゃん
山田さん
なんですか? そのセグメントって?
小野口課長
ライオン屋さんの顧客データ数は何件で、そのうちDMを何通送る予定ですか?
山田さん
はい。うちは江戸時代の創業以来、顧客名簿が引き継がれていますので、ざっと100万件ほどでしょうか。おトクな情報は大切なお客様の皆さまに公平にお知らせすべきですから、もちろん全員にDMをお届けしてます。
小野口課長
やっぱり、そうでしたか。それでは上司の方も「何とかしなくちゃ」と思われるでしょうね。
山田さん
え? だって、大切なお客様全員に平等にご案内する。どこか間違ってるとでも仰りたいんですか?
はい。ぜんぜん間違ってます。
モモちゃん
山田さん
えー! なんで? だって全員に送れば売上も最大になるじゃないですか。それ以上は売上アップできませんよね。
山田さん! 今回の課題は『DMレスポンス率のアップ』ですよね。ということは、つまり売上の最大化よりも、DMによる「販売効率の向上」、「利益率の改善」を目指せという指示です。そして、そのためには、「買ってくれそうなお客様だけに絞り込んだ」顧客リストにDMを送ればいいのです。これが正解です!
モモちゃん
小野口課長
モモちゃん、そんな鬼の首をとったような言い方しなくても……山田さん、おそらくこれまで顧客全員100万通のDM送付に対する利益がかなり薄かったのでは? それが社内で問題になっているとか。
山田さん
たしかに通販事業部の利益率は以前から問題視されています。ですが、売上ダウンはもっと問題になりますので。
分かりました。そしたら、まず売上ダウンをとやかく言う方を藁人形しましょう。その上で…
モモちゃん
小野口課長
山田さん、顧客リストを絞り込んでも極端に売上が激減することはありませんよ。というのも、「買ってくれなさそうな人」、言い換えれば「必要がない人」にDMを送らないという考え方ですから、できるだけ「買ってくれそうな人だけを選んで」DMを送ることで、売上の大部分は守られます。同時にムダなDM費用を減らせますから結果的に利益率も向上する、という理屈です。
そうですよ。もしも全員が羊羹を買いたい人だったらレスポンス率は100%じゃないですか!
モモちゃん
小野口課長
そういうことは100%あり得ませんけど。まあ、そういう考え方です。モモちゃん、「パレートの法則」は知ってるかな?
はい。イタリア人経済学者のヴィルフレド・パレートさんが発見した統計モデルです。
モモちゃん

【フィリップ・コトラーの定義】

2割の高額所得者に社会全体の富の8割が集中するため、残りの2割の富が8割の低所得者に配分されるという富の偏在(所得分布の不均衡)を統計学的に実証した法則。転じて「80:20の法則」として引用されることが多い。例えば、売上の80%は全顧客の20%が生み出す。売上の80%は商品銘柄の20%がつくり出す。などのように用いられる。

小野口課長
実際に顧客データベースを検証してみると顧客の何割でどれくらいの売上を作っているかも確認できますよね。特に顧客データベースというのは、購買可能性の高い顧客とそうでない顧客が偏在している場合が多いですから、今は全員にDM発送しているライオン屋さんなら、顧客区分を変更するだけで、つまり顧客リストをセグメントするだけで、DMレスポンス率も利益率もかなり向上するはずですよ。
山田さん
ということは、顧客全員にDM100万通を送るのは、無駄遣いだったということでしょうか。
はい。メチャメチャ無駄遣いですね。
モモちゃん
小野口課長
……新しい顧客を獲得するには費用がかかりますから、その段階では利益は出ずに赤字でしょう。それに対して、一度でも買っていただいたことがある既存顧客は、ダイレクト・マーケティングの事業では自社独自の市場そのものですし利益の源泉です。既存顧客のリピート購買で利益を出さなければ、どこからも利益は生まれません。だからDMにはレスポンス率のアップと収益効率の向上が求められるんですね。
山田さん
なるほど~、売上が大きければ、そのうちなんとかなるだろうと思っていた私が間違っていたみたいですね。そうですか、DMで利益を作らないといけないんですね。
山田さん、やっと気づいたんですね。よかったですね。それにしても課長。じゃあ、どうやって買ってくれそうなお客さんだけをピックアップするんですか?
モモちゃん
小野口課長
モモちゃん、どうすればいいと思いますか?
えーと、何らかの要因を手がかりにして、データベースを分類します。ひとつは、顧客プロフィールによる区分ですよね。男性に化粧品をお勧めしてもほとんどの男性は買ってくれませんし、すでにお子さんが成人している主婦にベビー服は必要ありませんよね。
モモちゃん
小野口課長
そうだね。ひとつは顧客プロフィールの属性による区分ですね。じゃあ、もうひとつは?
せっかく顧客データベースをお持ちですから購買履歴ですよね。たとえば、商品別の区分とか購買履歴による区分、その他にも顧客の会員ステイタスやDM発信履歴などによる区分も可能です。
モモちゃん

【ダイレクトメールの用途事例】

①顧客プロフィール
(名前/年齢/性別/住所/職業/年収/家族構成など)

② 購買履歴
(購入商品/購入日/購入回数/購入金額/DM発信歴/会員ステイタスなど)

山田さん
なるほど、いろいろな分類ができるものですね。うちにも一応データベースがありますから顧客セグメントをやってみようと思うんですけど、何しろそういう使い方はしたことがないもので。簡単で効果の高い方法はありませんかねえ?
小野口課長
もちろん、ありますとも! ねえ、モモちゃん、どうすればいいと思う?
えーと。時間もありませんし、すぐ簡単にできるのは、RFMによるセグメントでしょうか。
モモちゃん
小野口課長
RFM分析を使えば簡単な操作でデータベースをセグメントできるはずですよ。
山田さん
何ですか?そのRFMって。 私にもできますか?
はい。顧客データベースから「買ってくれそうなお客様」を探し出すために「購買履歴」を要因としてレベル分けする顧客セグメントの方法です。
モモちゃん

「RFM分析」

データベースに登録されている顧客の購買履歴から「直近購買日(= 最近最後に買った日=Recency)」、「購入頻度(= 総購買回数 = Freqency)」、「総購買金額(= 総売上= Manetary)」のランクによって、購買確率を推定するセグメント方法。レスポンスへの影響力はR>F>Mの順に強い。

(期間区分の例)

~下記の区分は各社の商品特性や顧客属性、単価によって異なります~

(R) 最新の購入日:
ランク5:3ヶ月未満/ランク4:6ヶ月未満/ランク3:12ヶ月未満/ランク2:24ヶ月未満/ランク1:24ヶ月以上
(F) 購買回数:
ランク5:5回以上/ランク4:4回/ランク3:3回/ランク2:2回/ランク1:1回
(M)総購買金額:
ランク5:4万円以上/ランク4:4万円未満/ランク3:3万円未満/ランク2:2万円未満/ランク1:1万円未満
山田さん
これをどうやってDM発送リストに反映するんでしょう。
小野口課長
過去のDM結果を分析して、各要因のランク毎に顧客のレスポンス件数を調べれば、どのランクがどれくらい反応しそうか推定できるんですけど、今は一番簡単なやり方をご紹介します。モモちゃん、どうだい?
えーと、えーと。一番簡単なのは直近購買日のRですね。1年以内に購買がある人、Rランク1・2・3だけを抽出します。ここで抽出された人数が少なすぎる場合は、ランクを4へと広げます。このお客様だけにDMをお届けする、というのが一番簡単なRによるセグメントです。
モモちゃん
小野口課長
最もレスポンスが良いのは直近購買から3ヶ月未満ですが、商品の消費サイクルなどの条件によっては1年または2年以内でもリピート購買される確率は十分残されています。これは自社独自の数値を定点観測すれば判ります。そして、さらにレスポンス率の向上を図りたい場合は、今度は購買回数のFも要因として考慮するといいですね。
その場合、Rランク1・2・3の顧客リストを、さらに購買回数のFランクで区分します。最近買ってくれた人で購買回数Fが多ければ多いほど上得意のお客様といえますから、反応も良いと予測できます。
モモちゃん
小野口課長
ちなみに、私はつい先週に注文しましたし10回以上買ってますので、R×Fでセグメントしても必ずおトクなDMが届きますね。僭越ながら、私のような顧客はロイヤル顧客と呼ばれます。
山田さん
そうやって買ってくれなさそうな人を除外していくわけですね。なるほど~! まずはR区分の絞込だけでも取り入れてみようと思います。さて、こうしちゃいられませんので、さっそく帰ってやってみます。たいへん勉強になりました。ご丁寧にありがとうございました。あ、毎度ありがとうございます。それでは失礼!
(ポカーン)
ポカーン
小野口課長
まだ話しの途中だったんだけどなあ。あー、記念写真撮るの忘れちゃったよ。
あ! それでも羊羹は完食されてますよ。
モモちゃん
小野口課長
自社商品を愛することは大事なことです。
ふう、お茶を淹れ直しましょうか。
モモちゃん
小野口課長
一服しますか。また羊羹いただいことだし。
ズズズー。
お茶を飲む
(プルプルー!) あ、電話だ、出ます。
モモちゃん
小野口課長
山田さんじゃないの。ズズズー。
あ、山田さん、先程はどうも。え? また戻ってらっしゃるんですか?
モモちゃん
小野口課長
行動力のある人ですねえ。ズズズー。

(つづく)

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